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甘露梅―お針子おとせ吉原春秋 (光文社時代小説文庫)
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| ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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| 人気ランキング: | 122417 位
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宇江佐流“ほのぼの”感はない作品
借金のかたに娘が泣きながら連れて行かれ、嫌々ながら客を取らされる・・・
というのが時代劇で見られる遊女屋のパターンだが、そんなイメージとは全然違うことがこの作品からは読み取れる。
店や遊女には格式なりのしきたりがあり、幼い娘や格下の娘は花魁付きとして仕事をし、育てられ、
季節ごとにはどのような行事があってどのような人間模様があるのか、ということなどが全体を通して描かれている。
そうした江戸の文化、暮らしぶりを描かせたら宇江佐さんは屈指の作家だろうと思う。
でも作品全体のつくりとしてはどうかな。
住み込みのお針子(お店での縫い物を専門に扱う仕事)として働く主人公・おとせの視点で物語は進むのだけれど、
読んでいて受けるおとせの印象は、正直いって“おせっかい、出しゃばり、うざったい”・・・
こんな人間がいたら周りから疎まれるだろうな、としか思えないのだが・・・。
宇江佐さんの描くヒロインには、ときどきこういう人がいるんだよね。
それもまた“宇江佐小説”なのだろうけど、この作品はあまり評価はできないかな。
それぞれの恋
人の数だけ恋があります。
この本は、決して全てがハッピーエンドで終わるわけではありません。人それぞれの恋があるんです。読み進めていくうちに、悲しく切ない場面に出くわします。それはもう、本当に悲しいです。暫く本を閉じて余韻を味わっていました。
ですが、その場面があるからこそ、おとせの恋が引き立つのかもしれません。
悲しいだけではない本当に素敵な作品ですので、是非お手にとって見てください。
江戸情緒とか粋って・・・・・
この作者が江戸情緒だの粋だのを言い出すと、鼻について仕方ない。まるでガイドブックに載っている下町風情をそのまま鵜呑みにしたみたい。
主人公は30代後半で夫に死にわかれ、息子夫婦と暮らすのも・・・と吉原でのお針子の仕事を選ぶが、中々なじめないとしきりにこぼす。遊女達は堅気の彼女にあまり打ち明けてくれない事もあるが、その中で唯一親身になってくれる男と出会う。けど、その人50代も過ぎてる年寄りで・・・・。
いくら江戸時代は現代と感覚が違うと言っても20以上年が離れた二人の組み合わせには違和感を覚えるし、吉原に入ってすぐの彼女に遊女達が打ち解けないのも傍から見れば当たり前のように見える。
この作品には、はっきりいって何一つ共感を持つ事が出来なかった。
却って教科書どおりのうそ臭い「粋」だの廓言葉だののわざとらしさばかりが目に付き、うっとおしい事甚だしい。そんなの繕わず、二人の成り行きだけを丁寧に追いかければいいのに。
また、連作なのでエピソードの説明がところどころかさなるのも、文庫にするときくらい手を入れればいいのに、と思わされた。造りが雑な印象。
お針子から見た吉原
吉原で生活を営む人々を、ひょんなことからその一員になった元・岡っ引の女房の目を通して描く。吉原といえば遊郭、そして花魁。そこにはもちろん悲しい生がある。女同士の争いもある。でもお茶請けに最中を食べたりおしゃべりしながら皆で甘露梅を漬ける昼の顔もあるのだ。おとせという町屋のおかみさんと花魁との心の交流や、元太鼓持ちの引手茶屋の亭主への揺れる恋心などが吉原の季節ごとの行事の中にしっとりと綴られていく。最後のおとせの決断には思わず涙を流した。
只今、宇江佐真理にはまっています。
色々な本を読んでいますが、宇江佐さんの文章は、すいすいと気持ちよく読めて、読み終わってから、もっとじっくり読めばよかったと、後悔?します。江戸の遊郭の暮らし、遊女達、さまざまな事情を暗く描かずに読み終わってからもとてもさわやかな気分でした。 また、次の本を探すのが、楽しみです。
光文社
おちゃっぴい―江戸前浮世気質 (徳間文庫) 銀の雨―堪忍旦那為後勘八郎 (幻冬舎文庫) 神田堀八つ下がり―河岸の夕映え (徳間文庫) 斬られ権佐 (集英社文庫) 雷桜 (角川文庫)
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